外科を志す皆さんへ
プログラム統括責任者
(呼吸器・乳腺内分泌外科学教授)
豊岡伸一
岡山大学広域外科専門研修プログラムのホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
岡山大学病院は、明治3年(1870年)に創設された岡山藩医学館大病院を源流としています。その流れをくみ、明治21年(1888年)には国の機関である第三高等中学校医学部が開設され、阪田快太郎教授が外科学を担当したことにより、岡山における外科教育は名実ともに本格的に始まりました。以来、岡山大学外科は130年以上にわたり、地域医療、高度医療、医学教育を担ってきました。
外科医の仕事は、手術を行うことだけではありません。患者さんにとって最善の治療を考え、多職種と協働し、治療の結果に責任を持ち、自らを磨き続けることです。そこには厳しさもありますが、患者さんの人生に深く関わることのできる大きなやりがいがあります。
本プログラムでは、初代外科学教室を原点として発展してきた消化器外科学教室、呼吸器・乳腺内分泌外科学教室、心臓血管外科学教室が力を合わせ、多くの連携施設とともに幅広い外科診療を経験できる研修環境を整えています。多様な領域に触れながら、外科医としての確かな土台を築くことができます。
これからの外科医には、手術手技に加え、チーム医療を進める力、医療の質を高める力、研究を通じて新しい医療を創る力、そして地域や社会の課題に向き合う力が求められます。私たちは、一人ひとりの志を尊重し、医師として、また人としての豊かな人間力を育みながら、自分らしい外科医として成長できるよう支援いたします。
外科を志す皆さん、ぜひ岡山の地で私たちとともに学び、ともに挑戦してください。皆さんとお会いできることを、心より楽しみにしています。

外科医の心を育てる、
岡山大学広域外科研修プログラム
プログラム副統括責任者(心臓血管外科学教授)
笠原真悟
岡山大学外科広域研修プログラムは、長い歴史と伝統を有する岡山大学の広域医療圏を基盤として、多様な特色を持つ公的・私的医療機関が連携する、全国でも特色ある外科専門研修プログラムです。都市部高度医療から地域医療、救急医療、小児・高齢者医療に至るまで、幅広い診療経験を積むことができる環境を整えております。
本プログラムの最大の特徴は、「広域性」と「多様性」にあります。地域枠医師への柔軟な対応、外科救急連携、専門施設間のシームレスな研修体制など、時代の変化に即した教育システムを構築しており、専攻医は外科医として必要な基本診療能力を確実に習得するとともに、その後のサブスペシャリティー研修へ円滑に進むことが可能です。その結果、多くの研修医の先生方から高い支持を得ています。
さらに、本プログラムには、それぞれの分野で卓越した臨床力・研究力・教育力を有する指導者が数多く在籍しています。専攻医の皆様にとって、生涯にわたり目標となる「師」と出会えることも、本プログラムの大きな魅力です。外科医の成長は、症例数のみで決まるものではありません。誰に学び、どのような環境で育つかが極めて重要であると考えています。
近年、日本全体で外科医志望者の減少が続いています。働き方改革、医療訴訟リスク、長時間労働、人口減少による医療構造の変化など、外科を取り巻く環境は大きく変化しました。特に高度専門領域である小児心臓血管外科は、「絶滅危惧種」とまで言われる厳しい状況にあります。しかし一方で、我が国には依然として高度外科医療を必要とする患者が数多く存在し、次世代外科医育成の重要性はむしろ増しています。 そのような時代だからこそ、我々は単なる「技術継承」に留まらない、新しい時代の外科教育を目指しています。
外科とは、ギリシア語を語源とする“surgery”の訳語であり、「手で仕事をする」という意味を持っています。しかし現代外科医療は、もはや単なる“手技”だけでは成立しません。AI、ロボティクス、3Dイメージング、データサイエンス、遠隔医療など、医療技術は急速な進歩を遂げています。将来的には、外科医の「手」はロボットアームに置き換わり、「目」は高精細3D画像やAI支援技術へと進化していくでしょう。
しかし、どれほど時代が変わっても、患者と向き合い、命の重みを感じ、困難な局面で決断を下すのは外科医自身です。そこに必要なのは、人間としての深い思考力、倫理観、責任感、そして患者に寄り添う「心」です。
私は、これからの外科医には、単なる“operator”ではなく、“academic surgeon”としての姿勢が不可欠であると考えています。目の前の手術を行うだけではなく、なぜその術式を選択するのか、医療の未来をどう変えるのかを常に考え続ける姿勢が求められます。臨床・研究・教育を一体として捉え、生涯にわたり学び続ける外科医こそ、次世代医療を担う存在です。
また昨今、若手医師育成においては、手術手技のみならず、全人的教育の重要性が改めて認識されています。患者への真摯な姿勢、チーム医療における協調性、多職種との信頼関係、そして困難な状況においても逃げずに責任を果たす覚悟――これらはAI時代になっても決して代替されない、外科医としての本質です。 岡山大学広域外科研修プログラムで育った外科医たちは、中四国のみならず、日本全国、さらには世界へ羽ばたき、各分野で次世代を担うリーダーとして活躍しています。私は、その姿を数多く見てまいりました。だからこそ、外科医の未来を悲観してはおりません。真に志ある若手が育つ環境があれば、外科医療は必ず次世代へ受け継がれていくと確信しています。
どうぞ皆様も、岡山大学外科広域研修プログラムで「外科医の心」を育ててください。技術を磨き、人として成長し、未来の医療を共に創り上げていきましょう。外科医療の未来に向けて、皆様と共に歩める日を心より楽しみにしております。




